自閉症で知的障害の割合とは?
ここでは、「自閉症で知的障害の割合」についてお話します。
自閉症(現在は知的障害の有無、自閉度の高低に関係なく「自閉症スペクトラム」という)
は、統計学的には国際的に増加傾向にあります。
しかし、単純に自閉症が増加しているというよりも、
自閉症という障害が世の中で認知されてきた結果、
以前は診断されなかった軽度の自閉症も含まれるように
なってきたからだと考えられています。
自閉症の人の知的障害の割合は?
どこまでを自閉症の範囲に設定するかによって統計的な数値は変わってきますが、
日本自閉症協会によると現在日本国内には、
推定36万人(知的障害を伴った重度の自閉症)の自閉症の人がいると報告しています。
知的障害を伴わない高機能自閉症の人を含めると約120万人ということなので、
日本では自閉症のうちで、知的障害を合併する人の割合は約30%といえます。
知的障害を伴った自閉症の人への対応は?
知的障害の有無をあらわす指数に、知能指数(IQ)があります。
知的障害を伴っているかどうかの判断基準値は
「IQ70〜85(ウェクスラーやビネーによる標準的な知能検査値)」です。
この値より低い場合は「知的障害を伴っている」と判断され、
この値より高い場合は「知的障害を伴っていない」と判断されます。
しかし、自閉症の人への対応で大切なことは「知的障害の有無」よりも
「自閉症であるかどうか」なのです。
知的障害がない人でも、彼らに合った支援でなければ、
落ち着いて学んだり作業をしたりすることは出来ません。
単純にIQの値だけで対応しないようにしましょう。
また、自閉症の人たちは定型発達の人とは異なった独特の学び方をします。
個別の能力はある程度持っていても、
集団生活になると途端に難しくなるといったケースもよくあります。
そういった場合、何が何でも「集団」でできるように頑張らせるのではなく、
個別での力を十分につけた上で、少しずつ集団での場面にも
適応できるように環境を整えながら進めていくことがポイントです。
よく「社会はそうなっていないから」という理由で、
自閉症の人たちに過剰な頑張りをさせている場合があります。
車椅子でないと移動できない人に「歩行練習」はしませんよね。
自閉症は外からはわかりにくい内部障害のため、
特に配慮が必要となります。